2017年04月10日

聴覚障がい者関係施設等中堅職員研修に参加して

                                                                                       西川 康子

2日間の日程で2016年度聴覚障害者関係施設等中堅職員研修に参加した。初日の1300からは主に知的・精神障害の方たちが利用する就労継続支援施設で指導されている荒木 真由美氏より、「中堅職員としての心構え」をテーマに、職場におけるリーダーの在り方をお話し頂いた。職場の基本的なマナーとして身だしなみ、笑顔や挨拶の大切さから、良いストローク(心の栄養)を貰わなかった部下は、良いストロークを出せなくなる。相手を受け止める、認める、褒めるなどのコミュニケーションの重要性をお話し頂いた。

元職がホテルマンであられる講師はさすがにきりりとしておられ、私は部下を持つリーダーではないが、一職員として肝に銘じ、職員の士気向上に貢献し、職場のレベル向上につなげて行きたいと感じた。


同日1615〜「聴覚障害者施設から地域福祉へ」をテーマに全国ろう重複障害者施設連絡協議会 元顧問

柴田 浩志氏より、京都聴言センターが地域と連携し進めてこられた事業の事例を中心にお話しを頂いた。

京都聴言センターの、民生委員と連携し高齢ろう者を支援した事例、また、地域支援者の協力を得て丹後地域で閉園した保育園を借受けパン工房を開業、さらに使用されなくなったプールを利用した食用バラの栽培など、魅力的な事業展開の報告があった。特にパン工房は年間数千万の売り上げがあるとのこと。また、警備や草刈りなど地域の支援者には仕事を提供し過疎地の雇用にも貢献するなど、まさに地域共生モデルとなっている。一方、障害者の社会資源は増えたが、実態調査により施設運営上の問題点も浮き彫りになっている(連盟のHPよりダウンロード可能)また、難聴者の使える社会資源の乏しさも指摘され、ホテルで働く等の、自立訓練(社会リハビリの一環)を実施し、好評を得ている京都の事例を挙げられた。聴覚障害児童のデイサービス事業の広がりがまだまだの状態であることや、利用者の開拓、社会資源を繋いでいく役割をもつ相談事業所の重要性にも触れられた。国の施策は状態の軽い人を地域包括ケアシステムに移行させる方針であるが、今後法人はどのように施策に連携していくのかが課題である。これまで当事者団体が設置・運営の主体を担い先駆的な役割を果たしてきたことは非常に重要であり、引き続きこれを根底に、共助・公助を常に意識した支援を行っていくことが大切であるとのこと。京都が実践している事業展開をうらやましく感じるとともに、私たちのセンターに課せられている期待と可能性を改めて感じた。


9930〜「生き生きとした職場にするために」をテーマに尾庭 恵子氏からお話しを頂いた。初日の荒木講師と連携した内容で、民間の会社を経営されている講師のお話しは具体的でわかりやすかった。ウサギと亀の話では、“ウサギは相手ばかり見ていた、亀はゴールを見ていた”を例に仕事におけるゴール設定の大切さや、相手に質問をするときには、「今日は何か良いことがあった?」等、どんな小さなことでもよいので良いことにフォーカスされるような聞き方をするなど、ご自身の会社で部下に実践されているお話を伺った。シャンパンタワーの法則では頂上にある自分を幸せにすることが、ひいては一番下にある社会をも幸せにするとのこと。小さなことにも喜びを感じることのできる自分でありたいと思った。

リーダーになれる人とは、人が好きになれる人、人を思いやれる人、周りの人を輝かせることができる人、助けられることができる人、助けられることが上手い人(自分で何もかもやってしまう人はリーダーではない)人を育てられる人(育成できる人)であることが重要とのお話は胸にしみた。これはリーダーでなくとも、対人職である福祉職に従事する者として重要な資質だと感じた。


同日1330

「福祉の原点を考えるこれからの社会福祉」をテーマに社会福祉法人大阪聴覚障害者福祉会専務理事 佐藤 修 氏よりお話し頂いた。2000年以降、社会福祉事業法改正により国の制度が大きく変わり、措置→支援費制度→自立支援制度→総合支援制度へと変遷した。民間でもできることは民間への流れになりパナソニックや神戸製鋼までが介護事業に参入し、小さな福祉事業所は太刀打ちできなくなっている。政府は「我が事丸ごと」として地域共生社会実現をビジョンに掲げている。「自助・公助・共助」とは一見聞こえは良いが社会で保障しましょうというそれまでの考えとは真逆なもの。要介護1,2の方にはサービスを使わせない。また、収入の高い方は2割負担へ、さらに年間単身で340万円以上の所得の方は3割への方針。現在もそうだが、お金の心配がない裕福な方はいくらでも豪華な施設に入所できるが、お金の無い介護程度の軽い方の支援が切り捨てられボランティアと共同した支援で対応するという。つまり寄付金などを集め、自主財源で運営する包括型地域支援事業のことである。    それは、同じフロアで子どもたちと高齢者が一緒に過ごす形態で、生活困窮、子供、介護・障害者を一緒くたにする考え方である。これは関係者たちがこれまで作り上げてきた専門性を否定するものであり、支援の質の低下に繋がるものだ。

社会福祉とは何なのか、の原点に返ることが必要である。改悪を食い止め、生きた制度に変えていくためにはまず福祉・社会保障の制度をしっかり学ぶ、知ることが大切であり、当事者と関係者が共同(運動)し、新しい社会資源の創造を常に考えて行政に働きかけていかねばならないとのことであった。
posted by 福井聴障協 at 08:58| Comment(0) | お知らせ